こんにちは
江戸張り子の工房 はりこのはやしやです
今日は9つの首が揺れる張り子 鬼車(きしゃ)のご紹介です

ミミズクのような身体に9つの童子の首を持つ幻獣と聞き、「これは作りごたえがありそう。挑みたい」と思い、作り始めました。

ウィキペディアを見てみたら鬼車には諸説あるようですね
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
●鬼車にまつわる様々なお話について●
東晋の小説集「捜神記」には「羽衣女」として以下のような記述があります
江西省のある男が数人の女を見つけた
男が近寄ったところ、女たちは鳥の姿になって飛び去ったが1人だけ逃げ遅れた
男はその女を妻にし、数人の子をもうけるが
後にその女は子供達と共に鳥の姿になり、男の元から飛び去った
この「羽衣女」が後に鬼車になったと言われています
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「太平御覧」には斉の国には9つの首を持つ鳥がいて鴨に似ていると記されているそうです。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「嶺表録異」によると鬼車は9つの首を持つ鳥で中国南部から北ベトナム北部にかけて多くいるとされ、人家に入り込み人の命を奪うとされていたそうです。
ある時犬に噛まれたことから血を流すようになり
その血を浴びた人は不幸になるとも言われていたそうです
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「正字通」によると「鶬虞(そうぐ)」という名で記述されています
みみずくの一種に似ており、大型のものでは約三メートルの翼を持ち
夜にだけものが見えるという特性があったそうです
火の光を見ると墜落してしまうようです
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
南宋代の書「斉東物語」では、鬼車は10個の頭のうち一個を犬に噛みちぎられ
滴り落ちる血は人に害を及ぼしていたといいます。
そのことから、鬼車の鳴き声を聞いたものは犬をけしかけて追い払っていたと言われています。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
●なぜ童子の顔を持つと言われるようになったのか●
記者とは全く別の伝説として「女岐(じょき)」という神女のお話があります
「楚辞」には、『女岐には夫もいないのになぜ9人もの子供がいるのか』と記されています
女岐は他人の子供をさらい、養子にしていたのです
この言い伝えが前述の「捜神記」に書かれた「羽衣女」の子供にまつわる話と交わり、
さらに「九子」が「九首」と間違って伝えられたことから
鬼車が9つの童子の首を持つ怪鳥と伝えられるようになったと考えられます
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
西晋代の「玄中記」にはこれらの鬼車、羽衣女、女岐の伝承を統合した形で
「姑獲鳥(こかくちょう)」と表記されており
書籍によっては鬼車は姑獲鳥の別名と表記することがあります
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
頭の一つは犬に噛まれたのではなく
周王朝の宰相、周公旦の庭師に打ち落とされたという説もあるそうです
https://ja.wikipedia.org/wiki/鬼車

鬼車がゆらゆら揺れる動画です。よかったらぜひご覧ください。

2020年は私の中で小さなテーマがございました。それが…

『強度や塗膜のことを考えずに自由に張り子を作ろう』
です。今までは
「首振りや奇抜な形の張り子を作ってしまうと、お客様のもとへ渡る前に壊れてしまうのではないか」
とか
「グラデーションにパステルを多用すると経年や接触により塗膜が剥がれるのではないか」
とずっと不安でした。

私はとてもナーバスになりやすいので、張り子発送の際も…

お客様から無事届いたというご連絡をいただくまでは、どうしてもそわそわしてしまい、
「大丈夫だろうか大丈夫だろうか」
と家族に何度も相談する程なのですが、
2020年はその辺りを気にせず表現の幅を広げることが目標でした。

そうすると私の場合必然とやりたいことが首振りに向いていくんですよね。
首振りは強度と耐久性の問題から
お客様にはお出ししにくいのではないかと考えていたんです。



2020年に入ってからはケルベロス風の3つ首振りを三体作り、そのあとに7つ首振りの猫ちゃんを作った後、
9つ首振りへと欲が広がってゆきました。

こうして、出来上がったのが9つの童子の顔を持つ鬼車です。鬼車は私の欲望の塊なのです。

欲望のままに作り出した鬼車ですが、その割には、
あまりに大変すぎて制作中は大変だった思い出しかありません。
死にそうになりながら廃人のように作りました。
私は廃人になると家族から心配されるほど大迷惑をかけるので
(ぼーっとして頭痛になってしまったり、張り子で脳みそがパンクして高熱を出したり)
なるべく張り子に熱中しすぎないよう、最近は心がけているのですが
それでも鬼車は廃人にならざるを得ない状態になってしまいました。家族に迷惑をかけてしまい申し訳無いです。

胴体はビグザムに似ていると夫に言われました。
怪獣っぽい哀愁が出るといいなと思い作りました。

首振りに対する欲望はまだまだ止まりません。沢山アイデアが出てきて困っています。


最後までみてくださり有難うございます。
また次のブログ記事でお会いしましょう。
コメント