こんにちは
江戸張り子の工房 はりこのはやしやです。
今日は自分にとって思い入れの強い張り子「きのこ抱き童子」のご紹介です。
きのこに童子がひっついているテーマには伝統があり、とても好きなんです。
後で詳しく語りますね。
どこからみても可愛らしく、
みずみずしくメルヘンなデザインになるように表現しました。
意志の強いお目々になるように意識しました。
こちらが今回参考にした東京都江東区亀戸の亀戸張り子『松茸抱きのお福』です。
埼玉県越谷市郊外で制作されており、『船渡の張子』としても有名です。
亀戸張り子はとぼけたような表情や奇抜な題材が特徴だそうです。松崎柳之助氏が亡くなられた後、長男 久男氏が後を継がれましたが、現在は制作されていないとのことです。
このような起き上がり小法師は江戸の頃から人気があったデザインだそうです。
起き上がる仕草と形が“男性”を連想させるからです。
子供がくっついているのは、その先にある子宝祈願を願ったためなのでしょう。
(歌川国芳 手が出る足が出る )
ちょっと横道にそれますが、江戸時代はだるまの起き上がりの動きも“男性”を連想させるものの一つであったそうです。
だるまの底の部分には重りがありますよね。
その事から江戸の人たちにとってはダルマも起き上がり小法師の一つと捉えていたそうです。(実際重りがしっかりしていてちゃんと起き上がるものもあるそうです)
だるまが江戸の人気商品になったのは、子供のおもちゃや、疱瘡(病魔)除けのおまじない以外にも、このような性的縁起物としての需要があったためです。
性的縁起物、その先にある子宝祈願。
現在では幅広く願いを叶えてくれる縁起物として活躍するだるまですが、とても奥が深いですね。
起き上がり小法師、だるまに関する参考文献はこちら。
日本一のダルマ蒐集家、中村浩訳氏の書籍です。
私は上記の「松茸抱きのお福」、大好きなんです。
江戸の人々の生活を感じる素晴らしいテーマだと思います。
ここでは紹介しきれませんが、もっと露骨で卑猥な表現をした起き上がり張り子もいっぱいあります。
それもそれで江戸の人々の洒落が効いていて好きなのですが、松茸抱きのお福は、かわいらしくマイルドなデザインゆえに、子供のおもちゃでもあるんです。
張り子というのは子供のおもちゃ、そして大人のかな〜り(命に関わる)切実な祈願、両方の需要が揃っているものです。
松茸抱きのお福はその両方を叶えてくれる、張り子として最高に素晴らしいデザインだと、初めてみたときに感動したことを覚えています。
その時の思いを自分の張り子として表現できて今回とても楽しかったです。
最後まで読んでくださり有難う御座います。
また次のブログ記事でお会いしましょう。
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