こんにちは
江戸張り子の工房 はりこのはやしやです
ゆるふわな張り子が作れない悩みを聞いてください
私がはりこを作り始めた12年前に比べ、今は可愛い作風の張り子作家さんもだいぶん増えた印象があります
張り子の本が数冊出ていたり、十数年前に比べネットでなんでも知ることができる様になったのも影響していると思います
そんな中、よく思うことがあるんです
江戸張り子職人を名乗っておきながら干支も鯉のぼりもお雛様も作らない
こんなんでいいのだろうか
話が十数年前に戻りますが自分は昔、大きい会社の委託を受けて鯉のぼりを数百個作ったことがあります
一個、800円だったかと思います
この時、こんなに大切な大切な嶋田さん手漉きの和紙を使い、嶋田さんの胡粉と膠で作った胡粉液を塗り、絵付けしたものを安価で容易く手放していいものなのだろうか
いっそ手元に置いておきたい
そう思ってしまいました
そう思ってしまった瞬間から、私には大量生産が全く向かなくなりました
もちろんいろんな作家スタイルがあるので、大量生産がダメとは全く言っておりません
ただ、私自身にできなくなってしまったのです
張り子といったら可愛くてゆるふわで素朴で尚且つ安価で大量生産するスタイルのものが多く
私に対してもそれを期待してTwitterなどを覗いてくださる方もいるかもしれませんがそうだとしたら本当に申し訳ない話です
それと、現在の作風や閉塞的な制作スタイルになっている理由として
私に『壊滅的に対人関係が苦手』と言うところもございます
十数年も張り子を作って来た結果こんな感じです
今頃バリバリ展示会に参加し、いろんな作家さんと仲良くなったりして交流を深めたり、
編集の人とかと仲良くなって本を出したり
また催しの企画者さんと仲良くなって張り子お教室を開いたりできれば
作家として飛躍できるのだと思います
ただ私には壊滅的に対人関係を築く能力がないのです
女の人を多く作る様になった理由は自分が作りたいから作っております
4本足の可愛い猫ちゃんなんかをちょこんと作った方がいいのかもしれません
正月には干支を作り、節句にはお雛様や鯉のぼりを作ったほうがいいのかもしれません
ただ、流行りに乗ることに全く自分が向いていないんです
高校生の頃は3年間1人でお弁当を食べながら美術室の片隅にこもっている様な孤独な人間でしたがそんな中の唯一の楽しみは
家に帰ってから『うさぎたちの地獄極楽絵図』を何年もかけてひたすら描くことでした
うさぎたちが地獄の世界で針のむしろになっていたり、血の海で溺れていたり
大蛇に食われていたりする絵を延々と描きながらニヤニヤしておりました
そんな私に流行りに乗ることはできないんです
なんか書いていて申し訳なくなって来ました
話が戻りますが今は張り子作家さん、めちゃくちゃ増えました。
可愛くてゆるふわな張り子を作るお洒落な作家さんはいっぱいいます。
心が満たされていて多幸感に溢れている作品を見ると自分は敵わんなと思います。
自分の性格の中にそういったハッピーでラッキーでピースフルで健康的なオシャレ要素が一切ないからです。
そんな中、自分が張り子を作る意味ってなんだろうとすごく考えるのですが、
自分が楽しんで作る以外の理由は何もないなと言う結論に行きついています。
深夜両親に起きていることがバレない様、部屋の明かりを消し、ラジオを小音で聴きつつ、電気スタンドの電気だけをつけながら『うさぎたちの地獄極楽絵図』をニヤニヤしながら描いていた
キモいあの時に立ち返り、暗闇の中でもがきながら頑張りたいと思います
初心に立ち帰ります
こんな文章を最後までご覧くださりありがとうございます
また次回のブログ記事でお会いしましょう
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